渋谷区の住宅地。 60代のご夫婦と40代の息子さんご夫婦がお住まいになるに2世帯住宅。
門を入るとアプローチ庭。共有の玄関は、将来分割しても動線が成立する配置となっている。
アプローチを共有しながらキッチンと水回りは個別とするなど、ゆるやかに分節されている。
上原Oは、3階建の直方体ボリュームと2階建のL字ボリュームの組み合わせでできている。 この形式は、真北からかかる高度地区斜線をかわすことから導き出された。 その副産物として、3階に広々としたルーフテラスが実現されている。
2階建L字ボリュームの両端にはプライバシーの守られた中庭が配され、低層の親世帯空間に光と緑を導く。
親世帯のキッチンの床は市松模様のフロアタイル。 お母さまお気に入りの洋書の中の写真からインスピレーションを受けて、まずはこの床を決定し、次にペパーミントグリーンの壁とウッドの階段、2階オレンジの壁、3階ブルーの壁を決定した。 心を浮き立たせるカラフルな仕上げとなっており、その魅力をトップライトや窓からの光がさらに引き立てる。
竣工写真撮影日のルビィさん。 ご夫婦(飼い主)がお昼に出かけてしまうと、いつも健気に玄関に座って待ち続けるそう。 フローリングはパーケットにすることで、滑りにくくなっている。 玄関前の中庭に散歩帰りの洗い場を用意。植栽の奥に配置し、目立ちにくくしている。
真北からかかる高度地区斜線をきっかけに生まれた3階のルーフテラス。 タイルを張り巡らせた贅沢なスペースは、室内のパーケットフローリングとの相性も良く、連続性が感じられる。 子世帯で飼っているジャックラッセルテリアが思い切り走り回ることができ、彼にとってもお気に入りの場所になっている。テラスはLDKと一体となり、光と景観を取り込みながら、どこまでも気持ちが広がるような開放感をもたらしている。
玄関を入ってすぐの和室は、ゲストルームの役割も果たす。 先代の家に設られていた仏壇を迎え入れるスペースを確保しつつ、収納と地窓を計画した。
2階は吹き抜けを介して、ご両親の部屋がそれぞれにレイアウトされている。 楽器が趣味である父の部屋は防音室となっているが、吹き抜けに面してFIXのガラスを入れている。視覚的に連続性が保持されるとともに、お互いの気配を感じられる個室となっている。
ご両親と息子さんご夫婦、それぞれのライフスタイルにさまざまな場所があり、それらをおおらかに包み込んで多様な表情を見せる二世帯住宅である。