羽根木の住宅地に建つ、事務所のアネックス。

駅に近く至便であることから、将来カフェを開設するなどフレキシブルな使い方ができること、最大限早く竣工すること（設計スタートから8ヶ月）、2階は多忙時の宿泊用として、リラックスできるスペースとすること、ごくシンプルに、極力ローコストな建築とすること、などが求められた。
　

敷地の北側、接道部分は駐車スペースを確保するため5mほどセットバックする配置とした。建て込んだ住環境の中、唯一引きをとることができた北側の1階に、象徴的な立面を生み出すことにもなるスチール製作による大きな窓を設けた。この窓枠は敢えて通常より大きなサイズの枠とし、窓枠が物として存在することを強調した。

1階は天井高を3mとし、シンプルで大らかな空間を感じられるスペースとしている。

2階はプライベートな寝室と浴室。両隣の家屋が建て込むためスリット状の中庭型テラスをえぐるように設け、寝室側も浴室側もプライバシーを阻害されずに採光を得ることができる。

階段上部に開けられた2つのトップライトは開閉可能であり、1階にも2階にも光を提供し、また煙突効果により建物全体に風を通す。

特別なことをしてはいないが、床、壁、窓、柱、階段、外壁サイディング、という建築を構成する要素がそれぞれ正しく配置され、大らかで美しい空間をつくりだすことをめざした。

竣工：2014年12月　/　用途：住宅　/　構造：木造　/　敷地面積 98.47m2　/ 延床面積 81.31m　/　構造設計：蒲池健　/　施工：ヨシナガ工業　/　設計：都留理子 木上奈都子 松澤一歩　清尾景子　/　写真：淺川敏