


昭和に建てられた趣きある建物が残る住宅地。施主は北に広がる空とヤマザクラを望むこの地を気に入った。
「窓から見える木や空、アートや焼き物の器、さらには階段や玄関といった建築の意匠が共存し、“優しさ”とキリリとセンスの良い“強さ”が明日に向かわせてくれる家」という要望が設計のスタート地点となった。



北面に大きな開口部を設け、そこに対して腕を広げるようなU字に弧を描く壁を立てた。天井高4.8m。LDKとして使われるスペースである。

施主が所有するさまざまなものを建築と共存させるために、造作のあり方をひとつずつ吟味した。勾玉のような形状のベンチは座る、寝転ぶ、 トレイを置くなど自由に使える。
階段はブルーグレー、ベンチは鮮やかな赤いカーペットで仕上げ、弧壁の大きさに対して動きや彩りを加えながら空間に調和を生む。

弧壁がキッチンカウンターと出会うところで止まる。カウンターにマホガニー仕上げのダイニング天板が組み合わされる。


弧壁の外側は、玄関を入って左方向に行くとリビングに出るパブリック動線。右に行くと納戸、手洗い、トイレ、エレベーターなどが並ぶサービス動線。

2階に上がり右に進むと洗面を通って浴室。



左に進むと主寝室。広さを確保するため、 曲面を部分的に変形させた。変形によるカーブはやわらかい陰影を生む。幅が絞られた奥のスペースはリビングに対し開口部を持ち、家族の気配や外への眺めとともに一人の時間を過ごすための場所となっている。



3階には階段ホールをはさんで2つの子ども部屋。

階段ホールからグレーチングのステップを上がると、空と桜の木を楽しむテラスがある。




ファサードからダイニングテーブルの足に至るまで、さまざまなスケールでタイルを用いた。
ファサードに貼った窯変タイルはこの家のために焼いたもの。光を受けて美しい表情を見せる。


この家がもたらす様々な体験が、おおらかさとのびやかさと、何らかの刺激とともにある。
そのような住宅をめざした。








































































