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ひとつの質問 続き

Column
Update: 2022.4.14

建主さんに聞いているひとつの質問

「これまでに感銘を最も受けた小説、映画、音楽、旅、人、、、を教えて下さい。その内容とどのような感銘を受けたかについても教えて下さい。」

について。

その続きです。

この質問に、それぞれの建て主さんが、これまでの体験から素敵なエピソードや影響を受けた作品について教えてくれました。

旅先で訪れた素晴らしい街、コンフォータブルなホテルや美しい自然、小説や映画の世界観、、、

それらを受け止めた上で設計に取り組みます。

念のため断っておくと、それは例えば小説「羊をめぐる冒険」であれば「いるかホテルの部屋的な室内を再現する」、というようなダイレクトなものではありません。

それらの体験を辿り感情の動きに想いを馳せる。
体感として手で触れられるような空気感を想像する。

建築のあり方によって、そのような空気感を生成させようとして試行錯誤を重ねていきます。

打ち合わせでは模型と図面を使いつつ共有し、フィードバックを重ね、めざす建築のあり方が定まっていく。
そのようなプロセスを経ています。

ここ数年は履歴書の項目にもその質問を入れ、スタッフ希望の学生にも「これまでに最も感銘を受けたもの」について教えてもらっています。

そのようにして、貴重な「大切にしていること」を建て主さんやスタッフから聞かせてもらって10年ちょっとが経ちました。

ふと、私は一方的に聞かせていただいてばかり。
私自身が「感銘を受けたもの」については誰にもシェアしていなかったことに気づきました。

なんだか片手落ちです。

私自身が「感銘を受けたもの」。
それは、日々の建築活動に多大な影響を与えているもの。
そう考えれば、私たちの事務所に興味をもってくださった方にお伝えするのは意味があることのように思います。

また、それらについて改めて向き合い言語化することが、日々の設計の質を更新してくれる予感がします。

次回以降、ひとつずつお伝えしていきます。

まずは大学2年直前の春休みに訪れたある建築についてです。

最後までお読みくださりありがとうございます!

2022年4月14日  都留理子